HD/DAW と クラウドコンピューティング(その一)
数ヶ月前YouTubeがHD(720P)に対応した。全画面に拡大しても驚くほど美しく再生されHDが伊達でないと驚かされる。
通信状態が悪いと度々動画が中断されるので結局通常の画質で使うことが多いが遠くない時期にフルHD化を達成するだろう。
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僕は基本的にひきこもりなので映画やドラマは希少な娯楽なのだが
自分がほれ込んで感動したりして見ているドラマの視聴率が軒並み1桁台なのには驚く
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しかしそれはテレビドラマ全体に共通した問題の様で
NHKの大河ドラマ等を除けば民放のゴールデンで視聴率10%は当たり前で
『水戸黄門』や『サザエさん』が毎週30%も稼いでいた時代はとっくに終わっていたのだ
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娯楽の王様であった映画が客を小屋まで来させて鑑賞した作品への対価を徴収する仕組みに対し
茶の間に寝転んだままCMさえ見てくれれば作品への対価は無料というテレビの方式は圧勝したが
ネットの普及によりテレビや新聞・出版が死滅に向かっている現在何が変わろうとしているのか
これは簡単そうに思えても答えを見つけるのはとても難しい問題だ
しかしヒントはある
テレビや新聞・出版を包括もしくは置き換えるインフラはおそらくGoogleによって作られるということだ
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世界初のストリーム配信は『ローリン グストーンズ』のライブ中継だっただろうか
当時の回線やサーバーの細さにより実際には誰も見れなかったというのが結果だったようだ
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それでも動画配信が将来のキーになることはだれもが確実と信じていたから
ストリーム配信の会社がたくさん生まれた
実際すでに動画なしのネットなんて考えられないほどにストリームは普及している
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しかし現段階においてもYouTubeが実現している機能は他に比べるものがないほど凄い
先ず720Pの完全にテレビに置き換えられる高画質動画を全世界に配信することを実現している
しかも完全に無料であるばかりか極めて豊富なツールが用意されている
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そもそもハイビジョンなど動画・音楽・印刷物の目的は
制作した作品を多くの人に見てもらうことだ
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しかし人や場合により対価の意味まったく異なる
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たとえば選挙演説なら動画を見てもらった時点で対価を得ているし
音楽会社がPVを流して視聴者をアマゾンやiTUNEに誘い込む場合は動画を見てもらう行為は純粋に広告だ
また30・60秒という広告では伝えきれない詳しい商品説明をTouTubeで流す企業も少なくない
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ミュージシャンやアイドル・コント・俳優を目指す人や
映像・音楽・詩の作家がYouTubeを利用することは従来のライブや路上より効率がいいし
オーディションやコンテストなどとは違った立体的な展開も期待できる
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学校や地域の行事を撮影・作品にまとめ父兄や町内の人に見てもらう
成長していく子供の可愛い姿を日本各地に散らばる親戚に見てもらう
旅行やパーティー・行事の記録を友達に分けるにしても
今まではプリントやDVDを焼き発送するコストと手間がかかったのが
YouTube等のファイル共有を使えば実に合理的にしかも即座に行える
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残念なことにWinnyのとき『ファイル共有=違法行為』というイメージが作り上げられたが
ネットがもっとも活きるのはファイル共有つまりは知識や記憶の共有だろう
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フェアユースという概念は日本でも昔より存在し
私的複製や図書館・教育機関においてすぐれた作品にだれもが触れる権利を持つことは法律が保証していた
それを産業的な特許の理屈から規制するというのは根本的に大きく間違った法を法で犯す行為だ
公共放送まで暗号化し権利者の許可なしにネットで作品を視聴するだけで刑事罰になるなんて異常と感じる
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そこまで既存のメディアが追い込まれているということだが
それが時代の流れであるなら即した生き方を模索する方が前向きだ
既得権にこだわった産業がことごとく壊滅してきた歴史を
テレビ・新聞・出版・音楽等の会社は重く受け止めたほうがいい
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楽観にすぎるかもしれないが
すぐれた価値のある作品は自ら対価を創出してくれる
損することばかり恐れて眠らせておくより
どんどん解放して多くの人から価値を見出してもらえばよいのだ
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それらを前提に考えると
GoogleがYouTubeで行おうとしていることは
とてつもなく巨大で重要な注視すべき実験だ
同時に進んでいるGmail/アース/ストリート/アンドロイド/クロームも
世の判断に応じて有機的にクラウドとして結び付けてゆく
こんなことは未来予測として話せても本当に実行できる人や会社は通常存在しない
Googleの誕生はMSやAppleもしくはフォードやIBMと同等以上に大きい
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今一分に20時間の動画がYouTubeにアップされているというが
それを受け入れるためにGoogleは巨大なデータセンターを次々と建設している
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日本でもWiMAXが始まりさっそく僕も加入してみたが
首都圏なら大体どこでも数Mbpsでつながる
無線LANのチップは驚くほど小型化が可能でなおかつ超低価格化できるので
あと何年かすればほとんどのビデオやスチールカメラなどはWiMAXを内蔵し
撮影した瞬間にYouTubeに保存することが当たり前になるだろう
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YouTubeでは世界中の人が自分のチャンネルを持つことを前提としている
WiMAX内蔵のカメラ等で撮影した画像は自分のチャンネルに自動的にアップされ
ネットブックなどで確認したうえ公開する範囲を決める
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もはや一般の用途にはフラッシュメモリすら必要くなる
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これからはPCも使う人(Player)用と作る人(Creator)用にはっきり分かれてくる
いま主流である10万円程度のデスクトップは真っ先に
WiMAXの普及とともにネットブックやスマートフォンに置き換わるだろう
Skypeみたいな仕組みで電話代もタダになるのだから
今のように携帯電話がお化けになっていくより
パソコンが小型化し携帯電話に置き換わっていくと考えることが自然だ
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パソコンは他の機器を食いつぶすことで成長してきた極めて肉食性の高いDNAを持つ
今後も携帯やゲーム機の名でパソコンはあらゆる電子機器を食いつくす
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そしてハイビジョンを編集したり音楽を制作するためには従来型のパソコンもなくならない
ネットブックでコンテンツを作るには限界があるし
いくら機械やソフトが優秀になってもプロ(職人)の仕事は残る
知り合いの映像制作の人たちも電波よりWeb向け動画制作のほうが多くなっていると言う
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今後は人によりパソコンを使う目的がはっきりしてくるので
単にCPUなどパーツの型番や価格比較サイトでパソコンを選ぶことが少なくなり
『自分の目的にあったもの』
『自分の力を一番引き出してくれるもの』
そんな視点でパソコンを選ぶ日が近い
『i-7 + 6GDDR3 + GTX285 + 1THDD + OS + モニタ = 12万??』
なんていう、記号と価格だけで買わせる
とにかく会社が潰れないために儲けがなくても(赤字でも)
現金を回していくのが目的という
『血を吐きながら続けるマラソン』
こんなパソコン販売の現状には吐き気がする
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SONYも東芝もDELLも秋葉のショップ物もノートやネットブックはほとんど台湾メーカー製
ASUSやMSIがマザーボード会社と思われているのは日本ぐらいなもので
あと数年もすれば日本法人を立ち上げASUSブランドなどで直接商品の販売を始めるだろう
もはやDELLでさえ危ない
単価が低すぎて売っても売っても利益が出ないからだ
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結局そのものを製造している会社が売ることになるだろう
たとえば他社が作った車を自社ブランドで販売して生き残ったカーメーカーなんて聞いたこと無い
HPやDELLという超巨大PCメーカーでさえ
やっていることは台湾メーカーが中国で作ったパーツを仕入れてねじで組み立てているだけだから
IBMがPCから撤退したように最終的には法人向けの保守や構築を含めたサーバーに行くだろう
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物の販売を推し進めていくとなんでも100円ショップに行きつく
しかし物そのものを欲しがっているマーケットなんてたいして大きくない
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JUNSはどうかと聞かれれば
もとより価格で勝負する気もないし出来ない
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僕らはクリエイターに向けた環境とノウハウを提供する力となることを目指す
実際JUNSのマシンは同じ型番のパーツで作られている他社のものより素晴らしく速い
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ハイビジョンをマルチカメラモードで8本同時に走らせ
オーディオに複数のエフェクトをかけても
楽々とリアルタイムに編集作業が行える能力には感動さえする
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またDAW制作によって得たノウハウより
映像制作時に役立つフィジカルやオーディオインターフェイスを組み合わせたシステムや
逆にPVも作りたいと考えている音楽制作の方にHDカメラやSDIインターフェイスをそろえた環境も提案できる
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そして今注力しているのが
YouTubeに代表されるコンテンツ配信に対応した商品作りだ
そして如何に使えば効果的にクラウド・コンピューティングを活用できるかというノウハウだ
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http://www.youtube.com/user/AiChanTV
(カメラ Panasonic GH1/CANON 5DMarkII 編集 JUNS Pro HD Studio)
http://www.creativepc.jp/index.html
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これらは試験的にAiChanTVというチャンネルを作って試行錯誤しているものだが
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2009年7月20日現在3週間で4000回再生
ランキングは日々変動するが今日だとミュージシャンで21位だ
21位といってもほとんどはテレビ放送のアップだったりするので
現実にYouTubeで何かしようと考えている人の中での順位はもっと高い
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一方でEMIやFourLifeなどのレコード会社や著名なミュージシャンもチャンネルを持ち始めているので
YouTubeを舞台にした戦いはかなり激しくなるだろう
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しかし確実なのはmixiやセカンドライフの時とは違って
YouTubeはAMAZONと同様に現実の生活やビジネスとして間違いなく定着する
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そしてクラウド・コンピューティングは先ずYouTube(Google)から始まりそうだ
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YouTubeに上げた映像は日本語であるにもかかわらず
日本アニメやJ-POPブームもあって世界中で見られている
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たとえばヨーロッパのミュージシャンに音楽を提供してもらい藍ちゃんが歌うといったことも可能性が高いが
一般の人がこんな国際的な創作を行えるなんてことは数年前では想像もできなかった
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クラウドという世界の上に漂う雲にコンテンツを置き地球レベルで共有することにより
新しく活気のあるカルチャーや仕組みが生まれる
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AMAZONは書籍にロングテールを与えたが
YouTubeは才能や面白さを知らせる機会をあらゆる人に与えて
しかもパソコンをウォークマンや携帯電話と同じ位置にまで下げて広げてくれる
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JUNSはYouTubeでプロとして業務を行う人向けの
PC一式とノウハウを提供できるようになろうと思う
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しかしこれが簡単なようで
結構難しかったりするのである
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その二に続く・・・